『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)85 「でもねえ、姉は幸せ……

「でもねえ、姉は幸せよ。祖母と母と、三人水入らずですもの。わたしなんか、二度目の母とそのつれ子に遠慮して生きているんですもの。わたし淋しくって。だから今日だって、せめて顔を見たいと思ってきたのよ。でも、姉だって、母だって、ひとことも言葉をかけてくれないの」


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